事務所通信

タイトル:ビジネスサポート通信

The Business Support Report 2023年10月1日号

インボイス制度スタートです!

この間色々な議論がありましたインボイス制度がいよいよスタートします。大半の事業者は準備を終えているように思いますので大きな混乱は起こらないだろうと思っています。準備過程で想定される問題は、免税事業者の取り扱いだと思います。現在のところクリニックでは大半の事業者が、インボイスを取得せず免税事業者として施行日を迎えるようです。この場合の留意点は、今まで患者さんに自費治療代を請求する場合に、別途消費税額を請求されていたクリニックが大半ですが、患者さんからの「益税」批判が想定されますので、請求書は、税込み金額(税抜き金額?)に修正する必要があると思います。逆に、家賃の支払などでは、「良心的」な家主さんは、うちはインボイスを取得しないので、今まで請求していた「消費税額」を値下げされるケースもあるようです。この辺りは、世の中の「常識的な」取扱いと税法の「常識」(経過措置でのみなし課税仕入れの取扱い)が異なりますので注意が必要です。
 もう一つは、今、岸田内閣の評判が上がらない最大の要因である「マイナンバー」と医療保険の「誤」ひも付け問題と同じような問題がインボイスの場合も想定されます。法人の場合は。検索サイトで住所の確認を行う事が出来ますので、間違って紐づけされるケースは少ないと思われますが、個人の場合はプライバシーの配慮でしょうか、名前のみの公開となっています。同姓同名の人がインボイスの登録をしているケースが多くみられます。別人のインボイスが紐づけされた場合に、どのような問題が起こるのかは不明ですが、起こる可能性は十分に考えられますので、留意をお願いします。
又、先月号で紹介した国際標準である「ペボルインボイス」の制度の普及も世の中の「常識」と経理、会計責任者の「常識」の違いも意識しながら取り扱う必要があります。是非とも、巡回監査担当者と十分な話し合いをして、インボイス、電子帳簿保存法への対応をお願い致します。

インボイス登録 フリーランスは3割以下

 インボイス制度が開始されました。消費税のインボイス(適格請求書)制度へのフリーランスの登録が3割以下にとどまることが、ウェブ上で仕事を仲介する大手のランサーズが9月19日に公表したアンケート調査の結果で明らかになりました。調査は8月23~30日、ランサーズに登録するフリーランスにウェブ上で実施し、551人から有効回答を得ました。
 フリーランスは売上が1,000万円以下の免税事業者が多く、制度に登録するには課税事業者に切り替える必要があり、任意で登録すれば新たな消費税負担が生じることになります。制度に登録したのは27.2%に当たる150人で、このうち「いずれ対応する必要があるから」との理由が最多の52.7%に上り、「売上や取引先が減少する可能性」を挙げたのは39.3%。「取引先から依頼された」「報酬が減らされる可能性がある」との回答も3割弱ありました。
 反対に、登録しない理由で最も多かったのは「売上が1,000万円を超える可能性がない」で62.3%、「取引先からの転換依頼などが現状ない」は39.2%で、「報酬を減らされる可能性はない」としたのは9.5%に留まりました。
 本日からの制度開始について「とても不安」「どちらかといえば不安」との回答は計82.2%に上り、登録した人も「税務処理が正しく出来るか不安。間違いを起こしてしまいそう」などと回答があり、また、売上や利益への影響を懸念する回答も半数以上ありました。
 続投が決まった鈴木俊一財務相は15日の閣議後記者会見で、制度について「増税を目的としたものではなく、あくまで複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものとして導入する」と改めて強調されております。
永年勤続表彰金の取扱い

 
 長期勤続をした従業員に対し、褒賞金(永年勤続表彰金)を支給することがありますが、社会保険において報酬に含めるか否かで見解が分かれていました。
 2023年6月27日に日本年金機構が公表している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」が改正され、統一見解が周知されることになりました。
 社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを「報酬等」として扱いますが、永年勤続表彰金について、以下の要件をすべて満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として報酬等に該当しないことが示されました。
・表彰の目的として、企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
・表彰の基準として、勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
・支給の形態として、社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
 労働保険では、賃金とするもの、賃金としないものは具体的に列挙されており、「勤続褒賞金」は、労働協約・就業規則等の定めがあるか否かを問わず、賃金としないとされています。
 所得税については、国税庁のタックスアンサーNo.2591 によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。
 なお、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。

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