R3.12.1号

タイトル:ビジネスサポート通信

The Business Support Report 2021年12月1日号

タイトル:インボイス制度の概要と諸手続

 先月号でも紹介しましたが、インボイス制度の概要について、改めて整理しておきます。適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。インボイス制度とは、売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることができます。この制度は、2023年(令和5年)10月から適用になります。適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」といいます。)を提出し、登録を受ける必要があります。なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。※適格請求書発行事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合であっても免税事業者にはならず、消費税及び地方消費税の申告義務が生じますのでご注意ください。この登録申請は、この10月から始まっています。制度発足時に登録事業者になるためには、2023年(令和5年)3月末までに登録することが必要です。判断が必要なのは、先月号でも触れましたが、クリニックその他の免税事業者です。免税事業者は、課税事業者ではないので、インボイスの登録の必要はないのですが、集団検診などの業務において依頼者である会社や法人が、インボイスを発行できるクリニックに依頼先を変更する可能性があるため、業務の機会を失う可能性があります。この辺りは、クリニックをめぐる全体の動向を見極めながら対応を決めなくてはなりません。それはともかく、課税事業者として適格請求書発行事業者として登録する場合には、e-taxで申告している弊社担当者に相談いただければ、簡単に代理申請を行うことが出来ますので、ご利用ください。

ライン
政府税調、記帳不備や悪質納税者への対応策を今後の議論で検討
 11月に開かれた政府税制調査会の専門家会合に提出されたこれまでの議論の報告(案)によりますと、記帳水準向上のための今後の議論の方向性として、帳簿の不保存・不提示や記帳不備に対して適正化を促す措置や、既存のけん制措置では必ずしも対応出来ていない悪質な納税者への有効な対応策の検討を行うことが明記されています。
 記帳の状況などに関する税務執行上の課題について、①後出し的な簿外経費の主張として、事後的に大量の領収書を提出した場合でも、当局側が多大な事務量を投下してその真偽を確認する必要があった、②無記帳の者に対しても、推計課税時には同業者と同程度の必要経費が認容される。記帳や帳簿保存義務を果たさなくても「仮装隠蔽」に該当せず重加算税の賦課が困難、③暗号資産売買により多額の利益があるにも関わらず無申告など、個人については、記帳義務や書類保存義務がない所得もあり、無申告に対する重加算税賦課がさらに困難な場合も存在、などが適正な記帳等が行われていない事例として紹介されています。
 これを受け専門家会合では、記帳水準向上のための施策等として、帳簿不備・不提示について、①後出し的な簿外経費の主張事例については、そもそも税務調査の段階で、納税者側から経費の真正性を裏付ける証拠の提出が必要であると考えるべき、②白色申告者は記帳義務があるにも関わらず罰則がないため、青色申告者との間で不公平がある点は、今後何らかの制度改革が必要、③記帳義務や書類保存義務がない所得もあり、無申告に対する重加算税賦課がさらに困難な場合も存在することは法律でクリアしていくべき課題、などの意見が出されています。また、特に悪質な納税者への対応として、税務調査時に簿外経費を主張する納税者、虚偽の書類を提出する等、調査妨害的な対応を行う納税者や、調査等の働きかけに応じない納税者、到底当初より申告の意図を有していたとは思われない納税者等、既存のけん制措置では必ずしも対応出来ていない悪質な納税者への有効な対応策の検討を行うとしています。
雇用調整助成金 特例措置 助成金の上限額を段階的に引き下げへ
 雇用調整助成金の特例措置について、厚生労働省は1日当たりの助成金の上限額を2022年1月から段階的に引き下げることを決めた一方、売り上げが大幅に減少した企業などには現在の特例措置を2022年3月末まで継続する方針です。
 雇用調整助成金は企業が従業員の雇用を維持した場合に休業手当などの一部が助成される制度で、厚生労働省によりますと2020年2月から2021年11月12日までの支給額は4兆8000億円余りにのぼっています。
 新型コロナウイルスの影響を受けた企業を対象にした特例措置が続けられ、現在、1日当たりの助成金の上限額は13,500円に、助成率をいずれも最大で中小企業は90%、大企業は75%に引き上げられています。
 このうち、1日当たりの上限額について厚生労働省は2022年1月から段階的に引き下げ、1月と2月は11,000円、3月は9,000円に決定しました。
 一方で直近3か月の平均売り上げがコロナ禍の前までと比べて30%以上減少した企業などには、1日当たりの上限額を15,000円に、助成率を大企業と中小企業のいずれも最大100%に引き上げる特例措置が行われており、これについては2022年3月末まで継続することにしています。
 また、雇用調整助成金を利用する企業に対して厚生労働省は2022年1月以降の休業などについて特例措置の対象にあたるとして申請する際には再度、業績の悪化を証明する書類の提出を求めることを決めました。
 業績が改善するなどして特例措置の要件を満たさなくなった企業が助成金をそのまま受け取っている可能性もあるとしてチェックを強化するとしています。

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タイトル:令和3年度介護報酬改定に寄せて!
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