The Business Support Report 2021年5月1日号
禅寺に参拝すると、玄関に「脚下照顧」との額縁がかけてあることが多くあります。足元を照し顧みよ、という言葉です。禅宗では、日常生活が修行の場であるととらえますので、具体的には、「履物をそろえよ」という事です。自分の足元をよく見よという意味でもあります。転じて、他に向かって理屈を言う前に、まず自分の足元を見て自分のことをよく反省すべきだとの教えです。「脚下」は足元の意。転じて、本来の自分、自分自身。「照顧」は反省し、よく考える、また、よくよく見るの意。「照顧脚下(しょうこきゃっか)」ともいいます。考えてみれば、玄関で履物を脱ぐという習慣は、世界的なものではありません。韓国や東南アジア諸国のように高温多湿の国では、日本と同様に履物を脱ぐ習慣の国が多いようです。中国では、地方によって異なる習慣があるようです。又、アラスカ、カナダ、ノルウェーなどの寒い国も靴を脱ぐ国が多いようです。反対に、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ等のいわゆる先進国では、靴を脱ぎません。人前で靴を脱ぐのははしたないと考えているようです。「履物を揃える」でネットを検索していると素敵な詩に巡り合いましたので紹介します。
はきものをそろえると 心がそろう/心がそろうと はきものもそろう/ぬぐときにそろえておくと はくときに心がみだれない/だれかが みだしておいたら/だまって そろえておいてあげよう/そうすれば きっと 世界中の人の心も そろうでしょう (長野県円福寺住職 藤本幸邦氏 作)
前触れが長くなりましたが、2019年から具体化されてきた「働き方改革」ですが、この4月から「同一労働同一賃金」が中小企業でも施行されています。「同一労働同一賃金」というと全産業的に、同じ労働に対して同じような賃金が支払われるイメ―ジがありますが、日本の場合には、同一企業内での、正社員と契約社員やパートタイマ―等との差別的な取り扱いを禁止する法令となっています。これは、横断的な労働市場が形成されず、産業別労働組合がなく、企業内労働組合が主流の日本的な特徴といえます。従って、例えば裁判で争われた「夏季休暇」や「特別休暇」などの差別的取扱いは、有給休暇もろくに保証されていない中小企業の実態からすれば、官庁系や旧官庁系の別世界の「争い」に見えます。しかし「脚下照顧」です。他人事でなく、ご自身の企業の法令順守について、もう一度確認と見直しをお願いします。
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