The Business Support Report 2021年4月1日号
コロナで明け暮れた2020年度でしたが、新年度を迎えます。緊急事態宣言は解除されましたが、リバウンドの危険性は排除されていません。又、英国型、ブラジル型、南アフリカ型等の変異ウイルスの危険性も指摘されています。各種イベントも再開されず、改めて「face to face」の重要性を認識しています。そんな中で、雑誌をめくっていると気になる記事があったので、皆様にも紹介しておきたいと思います。相続税の申告に使用する相続財産の評価額を算出する際、基準となっているのが国税庁の「財産評価基本通達」です。しかしこの財産評価基本通達には例外規定が設けられています。財産評価基本通達総則6項で、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定されています。この6項が適用された最近の否認事例として有名なのが、2019年8月の東京地裁判決があります。その概要は、被相続人が亡くなる2年半~3年半前に、5億5千万円の賃貸マンションを2棟購入し(計13億8700万円)、相続発生時にこのマンションを基本通達に基づき、約1億3千万円(計3億3千万円)と評価して相続税を申告し、相続発生から9か月後にこのマンションを5億2千万円で売却した事案です。国税庁はこの事案に6項を発動し、不動産鑑定評価額12億7300万円で更生し過少申告加算税も課税しました。相続人側はこの課税処分を不服として訴えを起こしましたが、昨年6月の高裁判決も併せて敗訴しています。この事例に対して、不動産鑑定会社の八木原岳氏は「4・3・1の法則」があると指摘しています。(エコノミスト3/16号)①相続税評価額の4倍以上の実勢価格での不動産購入②不動産購入から3年以内の相続発生③相続発生から1年以内の不動産売却です。この「4・3・1の法則」に当てはまると、「過度な相続対策」として否認される危険性が高まると指摘しています。このうち実勢価格4倍で線を引くか否かは不明ですが、3年以内の相続発生については、財産評価基本通達の中で、非上場株式の評価に際して、3年以内の取得土地については、路線価ではなく、購入価格で評価することが定められています。従って3年が目安になっている可能性が極めて高くなっています。又、1年以内の売却が、証拠としての重要性を増加させることは明白です。
タイトルの「百尺竿頭」とは、長い長い竿の先のこと。厳しい修行を経てやっと到達できる悟りの境地を指しています。しかし、悟りを開いても禅の道に終点はありません。その竿の先で「さらに一歩を進めよ」というのです。
相続対策を進める上で、この「4・3・1の法則」は、肝に銘じておく必要があります。
策に溺れることなく、さらに磨きをかけていかなければなりません。
2021年3月12日に生命保険協会から各生命保険会社に対して、国税庁からの連絡事項として、「法人定期保険契約等に係る権利の評価の見直しについて」の連絡があったそうです。
以下、連絡内容です。
①法人契約の定期保険を個人に名義変更した際の給与課税につき、見直しを検討している。
②現行は給与課税すべき経済的利益を一律解約返戻金額で評価しているが、これを解約返戻金が資産計上額の7割未満の場合は資産計上額を評価しるよう見直す方向
③本件見直しは、法人税基本通達9-3-5の2に基づき資産計上されている契約(2019年7月8日以降の締結しら契約)につき、今回の改正日後に名義変更を行った場合に適用することを想定
④今事務年度中である6月末の改正を目指す方向
現時点では検討段階ではありますが、遡っての適用が検討されているようで、法人契約の保険を数年度に個人名義に変更し、資産の移転を想定していた法人は、対応を迫られそうです。
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