R2.4.1号

ビジネスサポート通信

The Business Support Report 2020年4月1日号

民法改正法施行と労働関連法の諸課題!

 民法の内、債権に関する部分が120年振りに改正され、2020年4月から施行されます。その概要を明らかにすると共に、働き方改革の真最中の労働関連法の諸課題を明らかにして行きたいと思います。民法改正は次の4点が改正の中心です。第1点は、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に置き換わることです。「売買契約」や「請負契約」では、今まで「瑕疵」がない場合には、責任が免れるケースもあり得たのですが、「契約不適合責任」の場合には、契約や請負の不適合の場合には、責任を負うことになります。従って今まで以上に、「契約内容」や「請負の条件」を明確に定めることが必要になります。第2点は、短期消滅時効の廃止とルールの統一です。消滅時効は「権利を行使できる時から10年」と「権利を行使できる事を知った時から5年」というルールに統一され、短期消滅時効は廃止されました。この事は労働債権に多大な影響を及ぼします。(後述)第3点は「提携約款」の新設です。定型約款とは、いわゆる「ひな形」の契約書です。いままで「定型約款」については有効性が明確でなかったのですが、今回民法上で規定されたことにより有効性が明確になりました。但し、利用者に不当な条項は無効であることが明記され、又一方的な不利益変更も制限されます。第4点は個人補償人の保護です。法人の債務(借入等)に代表者の個人補償を求められた方も多いと思いますが、施行日以降は、被保証債務の「上限」を明記することが必要になりました。いわゆる根保証には極度額の明記が必要になります。又、事業用融資の連帯保証には公正証書の作成が義務付けられることになりました。民法改正により「契約書」の明確化が今まで以上に必要となります。

 昨年成立した「働き方改革関連法」ですが、今年の4月から施行されるのは、労働基準法の時間外労働の上限規制の中小企業への適用と労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の「同一労働同一賃金」の規定です。上限規制は①年間の時間外労働は720時間以内②2か月乃至は6ヶ月の平均が80時間以内③単月は100時間未満④原則の「月45時間」を超えるのは6ヶ月以内の全てを満たす必要があります。これに違反した場合には懲役又は罰金が科される強行規定です。同一労働同一賃金の規定は大企業中心ですが、派遣法ではすべての契約が今年の4月から施行されます。これには刑事罰はありませんが、民事的効力はあるので損害賠償責任があり、訴訟リスクを抱えることになります。前述の労働債権の時効については、昨秋以降労使の協議を継続してきましたが、原則5年としつつ、当面は経過措置として賃金請求権については3年、賃金請求権以外の有給休暇請求権などは2年の消滅時効を維持する改正法が今国会に提出されています。詳しくは、巡回監査担当者にお尋ねください。

ライン
新型コロナウイルス感染症に関する融資制度を拡充
 日本政策金融公庫では、「新型コロナウイルス感染症対策本部」による「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)」の発表に伴い、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業・小規模事業者向けに、融資制度において、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の創設など制度を拡充し、令和2年3月17日から同制度による融資を開始し、すでに相談を受け付けています。制度拡充の主な内容は、(1)新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況の悪化を来している事業者を対象として、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を創設、(2)新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した小規模事業者を対象として、「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」等の融資限度額の引上げや利率の引下げ等の措置を実施します。
 新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況悪化を来している事業者であって、①最近1ヵ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少、②業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次下記のいずれかと比較して5%以上減少、のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる事業者が対象となります。②のケースでは、最近1ヵ月の売上高が、(A)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高、(B)令和元年12月の売上高、(C)令和元年10月~12月の平均売上高のいずれかと比較して5%以上減少している事業者が該当します。令和2年1月29日以降の利用者は、一定の要件に該当すれば、融資後であっても、融資時に遡って「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資条件を適用することが出来ます。
 また、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)については、融資対象者が、通常は商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者であって、商工会議所等の長の推薦を受けた事業者だが、これに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により最近1ヵ月の売上が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者に拡充されます。
65歳以上の雇用保険について
 雇用保険法改正により、2017年1月1日以降65歳以上の従業員についても、雇用保険の適用条件(1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあること)を満たせば「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されるようになりました。また、保険料の徴収については2019年度(2020年3月31日)までは「65歳以上の従業員については徴収を免除する」規定が適用されていました。
 しかし、2020年4月1日からは免除規定が廃止されるため、企業は従業員の年齢に関係なく雇用保険料を納めなければならなくなり、65歳以上の高年齢被保険者からも本人負担分として雇用保険料を徴収することになります。
 4月の給与計算を行う際には、現在免除となっている従業員から、雇用保険料が控除されるように設定を確認するとともに、併せて65歳以上の従業員について、被保険者資格の取得の手続きが漏れていないかを確認し、漏れている場合は手続きを行いましょう。
 また、毎年6月1日から7月10日までに行う労働保険年度更新手続には注意が必要になります。 労働保険年度更新手続とは、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として、労働保険料(労災保険料及び雇用保険料)を計算することになっており、前年に見込みの賃金で算出した概算保険料と、実際に1年間に支払われた賃金により算出した確定保険料を精算し、同時に当年の概算の賃金で算出した概算保険料を申告し、納付する手続です。
 労働保険料のうち、雇用保険料については2020年3月31日までは65歳以上の従業員については徴収を免除されていましたので、確定保険料の算定では65歳以上の高年齢被保険者分は算入されませんが、概算保険料の算定では65歳以上の高年齢被保険者分を算入することに留意する必要があります。

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