The Business Support Report 2020年2月1日号
自民党、公明党は、昨年12月に2020年度の税制改正の大綱を発表しました。その概要を説明します。
国際的には、米中貿易摩擦、イギリスのEU離脱、イラン等中東情勢の緊迫化、香港の民主化運動等多くの不安定要素が山積する中ですが、「亥年選挙」を乗り切った安倍政権は、桜を見る会問題やIRを巡る現職秋元代議士の逮捕に始まる贈収賄事件、元法務大臣河井夫妻の公職選挙法違反事件等の諸問題を抱えながらも「馬耳東風」を決め込み一向に「変化」が起こる気配の見えない国内の政治状況です。
今回の税制改正の狙いは、持続的な経済成長の実現に向け「投資への流れ」を作り出すことに主眼が置かれています。具体的には「オープンイノベーションの促進」や「投資や賃上げを促す措置」です。企業が配当などに回さず蓄えとして内部に残している利益剰余金、いわゆる「内部留保」は昨年度463兆円に膨らみ、企業の保有する「現金・預金」は223兆円にのぼっています。運転資金に日々頭を痛めている中小企業の経営者には羨ましい限りですが、大企業を中心にこのような現状になっています。こうした資金を投資に振り向ける環境を整えるため、設立後10年未満で一定の要件を満たしている国内のベンチャー企業に対して1億円以上の投資をした場合(中小企業は1000万円以上)出資額の25%を課税所得から差し引く優遇措置を講じます。これが「オープンイノベーション税制」です。又、研究開発税制の対象となる設備投資額が減価償却費の3割超とする等投資促進を促します。又、ファーウエイ問題で有名になった5G導入の投資促進税制も盛り込まれています。
その他の改正では、NISA制度の見直し・延長、エンジェル税制の見直し、国立大学法人に対する個人寄付の促進、低未利用地の活用促進、未婚のひとり親に対する寡婦(夫)控除の見直しなどが織り込まれています。又企業版ふるさと納税の拡充も活用できる内容です。低未利用地の活用促進では、保有期間5年超、上物を含めて譲渡価格500万円以下の譲渡所得に100万円の特別控除が創設されます。企業版ふるさと納税制度では、税額控除割合を3割から6割に拡大されます。又この寄付金は損金に算入されることから寄付額のおよそ9割に相当する税負担が軽減されることになり、個人版ふるさと納税と同様に使い勝手がよくなる予定です。
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