The Business Support Report 2019年5月1日号
働き方改革法が4月1日から施行されました。1947年の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革となっています。そのポイントは次の5点です。①残業時間の上限規制②年次有給休暇の取得義務化③勤務間インターバル制度④労働時間の客観的把握⑤高度プロフェッショナル制度です。労働基準法制定以来というのは、罰則規定を付与した強行規定であるという点です。日本の労働法制は、セクハラ、パワハラ問題のように、厚生労働省がガイドラインを設けながらも法律的な「改正」はなく、某大臣が「セクハラ、パワハラを取締る法律はない」と発言していた不正常な状態にあるのが現実であったわけです。
今回一番注目されているのが残業時間の上限規制です。但しこの規制の施行は、中小企業は来年4月からであり、医師や建設業等は5年後の2024年からの施行になります。旧来から労基法の原則では、残業は禁止されており、36協定を締結して労基署へ提出したうえで「月45時間、年間360時間」の制限内で適用が可能となる形でした。しかし「特別条項」があれば事実上上限なく残業が可能であったわけです。しかし今回の改正で残業時間の上限が法制化され、①年720時間以内②単月100時間未満③過去2~6月の平均がいずれも80時間以内④特別条項の適用は年6回までとなり、違反すると6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになりました。但し中小企業の場合には、来年4月1日までの施行日までに締結した「36協定」であれば協定で定めた期間内であれば「36協定」が有効となる「経過措置」で施行を遅らせる方法があります。
それ以上に労務担当者を慌てさせているのが、年間10日以上の有給休暇が付与されている従業員に対して年間5日以上の年休を取得させなければならないという年次有給休暇の取得義務化でしょう。この制度は中小企業でも既に義務化されています。これはパート労働者でも10日以上の付与日数を得ている人も対象となりますので注意が必要です。これに違反すれば30万円以下の罰金が科せられることになっています。
その他勤務間インターバル制度については義務化は見送られましたが、就業規則で「勤務間インターバル制度」を定めた場合には、休息時間が「9時間~11時間」なら80万円、「11時間以上」なら100万円の「助成金」が支給される制度があるため検討が必要です。
今まで労基法も無視していた、或いは形式的な形でお茶を濁してきた企業にも対応が迫られる法律ですので留意してください。詳しくは担当者にお尋ねください。
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