H30.10.1号

ビジネスサポート通信

The Business Support Report 平成30年10月1日号

常時知悉(じょうじちしつ)の精神で!

 TKC会計人にとって、重要な4文字熟語が多々あります。自利利他(じりりた 自利とは利他をいう)担雪埋井(たんせつまいせい 雪を担うて古井をうずむ)等々。その中で今回注目するのが、常時知悉(じょうじちしつ)という4文字熟語です。
通常、このようや4文字熟語は禅や仏教用語であることが多いのですが、「常時知悉」については、出典が不明です。しかしながら、インターネットで検索すると複数の会計事務所やコンサルタント会社でこの4文字熟語が記載されています。従って、いつの時期か由来は不明ですが、何らかのTKC会計事務所の会合の場他で、この「常時知悉」が共通の目標になったのであろうことが推察されます。
 この言葉は、「常時」と「知悉」から成り立っています。それぞれの言葉の意味を国語辞典で調べてみると、
 常時とは普段。特別の場合と違って普通の場合のこと。
 知悉とは、その事について、細かい点まで十分に知っていること、とあります。
 解釈はさておき、この「常時知悉」という言葉は、本当に会計事務所の巡回監査担当者の基本原則を表した言葉だと思います。職業会計人たるもの、お客様のことについては、誰よりもよく理解し、知っておかなければならないということだと思います。弊社も代表取締役が交代し、私自身がお客様と直接お会いする機会が減少しています。しかしながら、常にこの「常時知悉」の言葉を念頭に置いてお客様の事を考えています。又、担当者にもそのように指導しているつもりです。よろしくお願いいたします。

クリニック向け財務・労務セミナー


日時 11月14日(水曜日)受付開始13時30分
場所 大阪産業会館6階(D会議室)
第1部 クリニックの事業承継対策
    講師 大田英俊 (株式会社ビジネスサポート大田事務所 代表取締役)
第2部 人出不足時代の就業規則と助成金
    講師 藤田圭五 (社労士法人ビジネスサポート大田事務所 代表社員)
ライン
経産省 個人事業者の事業承継を円滑化する措置を要望

 平成30年税制改正は、事業承継税制の改正が大きなトピックでしたが、経済産業省はこのほど、平成31年度税制改正要望を公表し、そのなかで小規模事業者の事業承継を促進させる要望が盛り込まれました。要望書によると、事業承継を考えている個人事業者の約4割が「相続税の負担が不安である」としており、また、純資産が4,800万円を超える個人事業者の事業用資産のうち、土地・建物・機械等の割合は約70%を占めている状況を踏まえ、「こうした個人事業者は事業承継に支障を来す可能性がある」と指摘しております。今回の要望では、「地域の雇用・経済に不可欠な中小企業の経営資源が、経営者の高齢化や後継者不在で失われぬよう、個人事業者の事業承継を促すため、事業用資産(土地、建物、機械等)の承継を円滑化するための措置を講ずる」といった具体的な内容が盛り込まれました。また、併せて、中小企業のM&A(親族外承継)を円滑化するための措置も要望しています。

 近年、事業承継案件に対して集中的に投資を行う、いわゆる“事業承継ファンド”の広告が増えていますが、ファンドの仕組みは、「事業承継問題を抱えたオーナー企業の株式」に対して、オーナーから株式を譲り受けた後、3~5年で企業価値を高めて売却し、投資した資金を回収、出資者に還元するというものです。現行制度においては、事業承継ファンドを通じた大規模法人による出資割合が一定以上となる場合、出資を受けた中小企業は中小企業の優遇税制が適用されず、事業承継ファンドから出資を受けた後の円滑な事業活動の継続に支障が生じていました。そこで、一定の要件を満たす事業承継ファンドから出資を受けた場合でも、中小企業向けの税制措置を活用できるように求めています。
 平成30年度税制改正では、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられましたが、今回の要望が実現すれば、国内の事業承継をさらに後押しする改正となりそうです。

5日以上有給休暇の取得の義務化について
 2018年4月、政府は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」案(働き方改革関連法案)を閣議決定し、6月29日に参議院で働き方改革法案が可決され、正式に法律として成立しました。
 今回の法改正により、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は、必ず年間5日は有給休暇を取得させなければならないこととなり、施行日は平成31年(2019年)4月1日となります。
 労働者から希望がなければ有給休暇の取得を促す必要はありませんでしたが、1年間に有給休暇消化日数が5日未満の労働者に対して、使用者は労働者から希望を聞いた上で「○月○日に有給休暇を取得してください」というように年間5日を指定しなければならなくなりました。違反の場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
 これまでほとんど有給休暇の取得実績が無く、現実的に、誰かが休むと業務に大きな影響が出てしまうような職場の場合は、有給休暇の取得率を上げるための対策を講じる必要があります。その対策の1つとして「年次有給休暇の計画的付与制度」が挙げられます。
 年次有給休暇の計画的付与制度とは、労働者が有給休暇を取得しやすくするために使用者側があらかじめ有給休暇の取得日を割り振る制度のことです。
 年次有給休暇の日数のうち5日は労働者が自由に取得できる日数として必ず残しておく必要があるため、計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。例えば、年次有給休暇の付与日数が10日の労働者に対しては5日、20日の労働者に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。
 この新しい有給休暇制度については施行日も近く、早急に方針を決めておくことが必要です。

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