The Business Support Report 平成30年7月1日号
例年6月号は、ふるさと納税の特集を取り扱ってきたのですが、今年は、特例事業承継税制の創設という中小企業経営者にとって極めて重要な自社株の贈与税・相続税の100%の納税猶予制度の創設がありましたので6月号については、特例事業承継制度を解説しました。この制度のポイントは、平成35年3月31日までの「特例承継計画」の都道府県への提出と平成39年12月31日までの贈与の実行です。この基本的な立場を前提にして、その間の先代経営者の死亡の場合その他起こりうる色々なケースについて検討してください。そして、具体的な条件整備に努めて下さい。特に受贈者については、役員就任3年以上経過の20歳以上の者であることが要請されていますが、最大3名までの複数後継者を指定することが可能です。「特例承継計画」については、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けることが必要でが、弊所は、その資格を得ていますので、巡回監査担当者にご相談ください。
そして、「ふるさと納税」ですが、昨年来、お礼の金品のエスカレートが問題点として指摘され、総務省はあらためて返礼品の割合を寄付金額の概ね3割程度にするようにとの通達を出し、地方交付税の調整にまで踏み込んで「指導」しているようです。この問題は、地方自治体の企画力の問題であることを再三指摘してきたところですが、改めて各自治体担当者の奮闘に期待しておきます。
さてふるさと納税の上限額ですが、(総所得金額―所得控除の合計額)×限界税率から計算された特例控除割合(100%-所得税の特例控除割合-住民税の基本税率10%)×20%=特例控除の限度額と控除対象寄付金の上限額(概ね所得の30%)との少ない方が上限額になります。
具体的には、所得金額1,000万円で、控除対象配偶者、控除対象扶養控除がない場合で、おおよそ34万程度になります。所得金額2,000万円で80万円、3,000万円で120万円、4,000万円で160万円、5,000万円で225万円となります。一方で、所得金額200万円の単身労働者でも、4万円のふるさと納税を行うことが出来ます。
高額納税者の場合には、返礼品が税務上は、一時所得に該当しますので、その他の一時所得と合わせて、50万円(特別控除額)を超える場合には、課税となり、申告に含めなければなりませんので注意が必要です。
その他詳細及び注意点については、巡回監査担当者にお尋ねください。
ホテルや旅館などの宿泊施設の代わりに、一般家庭などが空き部屋などに有料で旅行者を宿泊させる民泊サービスに対し、公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブル防止、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応などから制定された住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されました。それを受け、国税庁は13日、「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」を公表し、民泊により生じる所得区分や必要経費の具体例などを取りまとめした。それによりますと、自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。また、宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供が宿泊施設の提供者に義務付けられており、利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、家具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費、日用品費、観光案内等の役務提供の対価などが含まれていると考えられます。
所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は、原則として不動産所得に区分されますが、民泊は、一般的な不動産の貸付け(賃貸)とは異なり、民泊に利用できる家屋は、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者等の居住の用に供されている家屋に限定され、その宿泊日数も制限されており、民泊の性質や事業規模・期間などを踏まえると、住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことにより得る所得は、原則として雑所得に区分されるとの考えです。ただし、不動産賃貸事業者が、一時的な空き部屋を利用して民泊を行った場合に得る所得は、不動産所得に含めても構わず、また、専ら民泊で生計を立てるなど、民泊が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は、その所得は事業所得に該当するとしています。
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