The Business Support Report 平成28年7月1日号
社労士法人第4弾は、双方代理の禁止と利益相反行為です。旧来の社労士法は、「社労士は労使紛争に介入してはならない」というスタンスだったのですが、特定社労士という制度の発足(2007年)と共に、紛争解決手続代理業務が社労士業務に加わりました。(社労士法第2条第1項第1号の4から第1号の6まで)即ち、①紛争調整委員会(都道府県労働局)におけるあっせん等において紛争の当事者を代理すること。②都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争に関するあっせんの手続きにおいて紛争の当事者を代理すること③民間紛争解決手続(認証ADR機関)のあっせんにおいて紛争の当事者を代理すること(但し紛争の目的の価額が120万円を超える場合は、弁護士との共同受任が必要です。) このように、紛争の当事者の代理をする場合には、双方代理の禁止や利益相反行為の定義といった民法上の基本原則が重要になります。民法108条(自己契約及び双方代理)では「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。」と規定されています。これが基本原則になります。この民法の規定を受けて社労士法第22条第2項において、特定社労士が業務を行い得ない事件を規定しています。①紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件 ②紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの ③紛争解決手続代理業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件。但し③の場合には受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りではない。となっています。具体的には、会社の顧問社労士をしている立場で、その会社との紛争解決手続代理業務で、解雇や配転等を争う従業員の代理人となることが出来ないという当たり前の事ですが、実務上は注意しなければならない規定です。
弊社も、勤務社労士の柴田真介が、紛争解決手続代理業務試験に合格して、労使紛争にスタンバイの体制を整えています。
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